特別支援学級での生活単元学習 買い物から調理実習4

○調理実習

買い物が終わったら、いよいよ、調理実習です。
身支度をきちんとし、手をきれいに洗います。
ここまでは、教員がきちんと指示します。

グループごとに調理室のテーブルについて、確認が終わったら、スタートです。

ここからは、生徒が自分たちで活動します。

道具は何がどこにあるか、事前に調べているので、自分で準備することができます。食材は自分で買ったので、どれを使うか分かっています。

はかりやカップで目盛りを読むのは、相当難しい作業で、生徒が聞いてくればもちろん教員や介助員がアドバイスします。数学の学習にもつながるので、正しい使い方ができるよう注意します。

後は、基本的には大人は極力指示せずに、手伝う場合は何を手伝ったらいいか生徒に尋ねました。作る手順はすでに生徒たちが自分で調べています。教員よりも分かっているはずです。手伝ってほしいことは、生徒が言ってきました。

実際は、交流の授業でぬける生徒がいたり、残った生徒ではうまく進まなかったりと、いろいろなトラブルはありました。それでも、グループごと生徒たちの協力で、何とか調理することができました。

完成品は、全員で昼食と一緒に食べました。
それぞれ、おいしいポテトサラダができあがりました。
職員室にもお裾分けで、生徒に持って行かせました。

食べ終わったら、食器の片付けも調理室の掃除もすべて生徒が行いました。

始めから終わりまで、すべて生徒が責任を持って取り組むというところに意味があるのだと思います。

教室に戻って、ワークシートに振り返りを記入しました。
そこに完成品の写真を貼ると生徒たちの思い出にもなると、その授業を参観していただいた指導主事からうかがいました。

一連の活動が必ずしもスムーズにいくとは限りません。時にはグループの中でトラブルが起こります。しかし、教室の席に座って教科の学習をするよりも、生徒たちはとても積極的に取り組んでいて、そのような状況で、教室での授業中よくあった暴言や暴力といった不適切な行為も、目立つことはありませんでした。

協力の大切さ、責任感、他者への貢献など、人間関係にとって大切なことを学ぶ機会となったのではないかと思います。

○2、3学期の取り組み

この「買い物から調理実習」という「生活単元学習」は、この年には学期に1回ずつ、計3回実施しました。

2学期には、1学期同様収穫したじゃがいもを使う料理ということで、カレーかシチューのどちらかを作るということにしました。

生徒は、一度スーパーマーケットに行き、作りたい種類の箱入りルーを選びました。カレーのルーを教員が買ってくれば簡単なのですが、現実にはルーは多くの種類売っています。それを選ぶという行為は、現実的に必要なものであると考えました。

その上で、1学期同様、今度はルーの箱の作り方を見ながら、ワークシートに材料、使う道具、調理手順、買い物リストを書き込み、買い物学習、調理実習へとつなげていきました。

3学期は、お菓子作りに挑戦しました。

3回目ともなると、一連の活動にスムーズに取り組めるようになっていました。ワークシートに書き写すスピードはもちろんまちまちですが、遅い生徒も、1学期に比べては早くなっていたし、協力する呼びかけも、教員がいちいち言わなくてもできる生徒が現れていました。

買い物学習も、グループの協力性がより強くなっている様子が見られました。同じ商品であっても、どっちの商品にするか。値段を安く抑えるにはどうしたらいいか。そんな話し合いを、生徒たちは自分たちでスーパーマーケットの中でしていました。最初ははらはらしながら付き添っていた教員や介助員さんも、安心して見ていられるようになりました。

調理については、今回のお菓子は今までよりレベルが高かったので、難しい点も見られましたが、それでもグループごとに協力して、それぞれがグループの中で自分の役割の責任を果たし、取り組む様子が見られました。

一連の活動を通じて、買い物や調理のスキルアップが見られたのはもちろんですが、話し合いや協力して活動をする力など、集団生活を送るための力が生徒たちについていることが、とてもよく分かりました。学期ごとの活動が、明らかにレベルアップしていました。

買い物、調理という、実際の生活に関わる活動が生徒たちの興味を高め、そして、生徒たちの力で行うという経験が、それぞれの成長につながったのだと思います。

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