特別支援学級での校外学習4

ある中学校で行った校外学習の実践を紹介する4回目です。

前回は、組織決めと事前調べの話をしました。

事前調べが終わると、次は、しおり作りです。

現在学校で使う用紙はA4が主流です。A4版の用紙で作成すれば見やすいかもしれなかったのですが、ここでは、携帯しやすさを考慮し、A4用紙を半分に折って、A5サイズのしおりを作成しました。当日は、しおりを見ながら自分たちで行動することを目標としたかったので、携帯しやすさという点を重視しました。

あらかじめ内容を教員側で作成し、それを提示する形で、生徒みんなで分担しました。主な内容は、次の通りです。

  • 表紙
  • 実行委員長の言葉
  • 目標
  • ルール
  • 持ち物
  • 各班のページ(班員と班長、係名)
  • 行動予定表
  • 目的地について
  • こづかい帳
  • 駅から目的地までの地図
  • メモ欄
  • 裏表紙

このうち、「行動予定表」と「駅から目的地までの地図」は教員が担当し、残りは生徒で分担しました。A5サイズという比較的小さめなために、「目標」もちょっと大きめな字で書けばそれで1ページ埋まってしまうような感じでした。中には文字を書くことが苦手な生徒もいましたので、そういう生徒は簡単なものを選んだり、大人が手本をきちんと示すなど、配慮しました。

「行動予定表」についてですが、それを見れば当日、生徒が自分たちで行動できるようなものを、目指しました。どこでどのような行動をしたらよいかを細かくパソコンで打ち、誰もが読めるようにひらがなもつけました。

しおりの原稿は、「生活単元学習」の時間を中心に書きました。

原稿ができあがったら、印刷は教員が行いました。その中学校は、印刷室に生徒が入ることは基本的にできなかったからです。

印刷したしおりは、生徒みんなで綴じ込み作業を行いました。

A4を二つに折って、順番に組んで、ホチキス止めをするという作業です。通常の学級でもあることですが、よく、大人がこういう作業をしてしまうことがあります。特別支援学級では、尚更ではないでしょうか。特別支援学級の担任を始めたばかりの頃、ある程度知的に高く、多くの時間を交流しているのに、ホチキスが使えないという生徒に出会いました。こういう作業を、たぶん、大人が代わりにやってあげていたんでしょう。それをきっかけに、ホチキス止めや冊子づくりなど、大切な生徒の学びの機会を大人が奪ってはいけないと、思うようになりました。

この時は、自分のしおりだけでなく、みんなでたくさんのしおりを作りました。

できあがったしおりは、校長室や職員室に持って行き、先生方に配りました。特別支援学級がどんなことをしているか、校内の先生方に知ってほしかったし、生徒たちががんばった作品を見てほしかったのです。また、先生の所へ持って行く、ということも、人とのかかわりという意味で、生徒たちには経験になるのではないかと思ったからです。

たかがしおり作りですが、これだけのことでも多くのことを子どもは学ぶように思います。教員は、そういう学びの機会を、大切にしなくてはいけないのだと思います。

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