特別支援学級でのクラス会議

ある中学校の特別支援学級で「クラス会議」を行いました。

学級の中で、暴言や暴力が日常化し、お互いの人間関係も好ましいとは言えない状況が続いている時、こんな本を見つけました。

金沢信彦・岩井俊憲共著「今日から始める学級担任のためのアドラー心理学 勇気づけで共同体感覚を育てる」(図書文化社)

その中で紹介されていた「クラス会議」に興味を持って、次の本を取り寄せました。

森重裕二著「クラス会議で学級は変わる!」(明治図書)

この本をもとに、「クラス会議」というものを実践しました。

毎日、特別支援学級での「朝の会」の後、5分間を、「クラス会議」の時間としました。

まず、全員でイスを持ち寄って、輪を作ります。その場にいる教員も介助員も輪に入るようにしました。

私たちの学級では、日直がまずサイコロを振りました。出た目が偶数なら右回り、奇数なら左回りというルールを作りました。

次に日直は、(もともと学級にあった)プーさんのぬいぐるみを持ちます。このぬいぐるみを持った人だけが話をできる、というのもルールです。

そして、隣の人(右回りなら右隣、左回りなら左隣)に対して、「ありがとう」を伝えるのです。これが「ありがとうみつけ」です。

例えば、「昨日遊んでくれて、ありがとう」とか、「昨日、消しゴムを拾ってくれて、ありがとう」という感じです。言えないときはパスしていいというのもルールです。

実際、最初のうちはパスが多くありました。そういうときには教員や介助員が見本として隣の生徒に「ありがとう」を伝えました。

だいたい面と向かって「ありがとう」などと言ったことがないような生徒たちです。最初はとまどう様子もありました。でも、慣れてくると、少しずつ「ありがとう」が言えるようになっていきました。

パスばかりするような生徒もいました。ふざけてしまう生徒もいて、途中叱ることもありましたが、この場はそういう叱る場面では、本来ありません。優しい雰囲気で行う必要があるのだと思います。

時間は5分なので、「ありがとうみつけ」が一周してもだいたい時間は余ります。次に行うのが「議題の話し合い」です。

あらかじめ、学級のなかにみんなで話し合ってもらいたいことを記入できる紙と、それを入れる箱を準備しておきました。

教員がその箱から紙を出して、議題を読み上げます。そうしたら、先程と同じ順番で、その議題に対しての意見を言っていくのです。

この「クラス会議」は、他者を対等なものととらえ、相互信頼、相互尊敬を基本とするアドラー心理学の考え方に基づいているといいます。

この「クラス会議」を継続して行うことで、アドラー心理学のいう「勇気づけ」を行い、生徒たちの心を育てていけたらと願い、指導を続けました。

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