特別支援学級と卒業式での呼名

勤務する学校でも、卒業式が行われました。

この時期は、どこの学校でも、行われますね。

卒業式での特別支援学級の生徒の呼名について、次のように分けられるように思います。

  1. 特別支援学級として、通常の学級ではなく、一つの学級として、別に、特別支援学級担任が呼名する。
  2. 通常の学級の中で、一番最後に、通常の学級の担任が呼名する。
  3. 通常の学級の中で、一番最後に、特別支援学級担任が呼名する。
  4. 通常の学級の中で、交流している時の番号順で、通常の学級の担任が呼名する。
  5. 通常の学級の中で、交流している時の番号順で、特別支援学級担任が呼名する。

学校によって、地域によって、様々ではないかと思います。

私自身は、上記の4と5を、経験しています。

本来、特別支援学級は、一つの学級です。

ですから、通常の学級とは別に、上記で言えば、1が本来は、望ましいのではないかと思います。

昔のことですが、卒業式ではありませんが、特別支援学級の保護者の方が、何もかも通常の学級と別で、さみしかったと、話していたのを、聞いたことがあります。

障害受容の問題だと片付けてしまうのは簡単ですが、他の子と同じにという保護者の願いがあるということは、大切にしなくてはいけないと思います。

通常の学級の中で呼名するということは、他の生徒と同じに扱うと考えることだと思います。

特別支援学級は一つの学級であるとは言え、本来通常の学級で学ぶべき子が、その特別な教育的ニーズに答えるために特別支援学級というものを学校が準備しているのだと思います。

そう考えると、卒業する時、学校の外には特別支援学級はないのですから、本来の通常の学級の一員として卒業することは、当たり前と言えるのではないでしょうか。

現に、卒業証書は、通常の学級も、特別支援学級も、区別はない、全く同じものです。

順番は、どうでしょう。

インクルーシブ教育の時代です。そうでなくても、他の生徒は五十音順なのに、特別支援学級の子だけ、五十音と関係ない順番では、おかしいです。

だから、特別支援学級の生徒を含めた順番で作成された名簿で、並んでいるべきです。

それでは、呼名はだれがするか。

通常の学級の担任が呼名するのが、式の流れで言えばスムーズです。

その生徒の中学校生活を支えて来たのは、だれなのでしょう。

特別支援学級の担任では、ないでしょうか。

生徒によっては、通常の学級の担任との関係が薄い子もいるかもしれません。

通常の学級の担任をしていた頃、このことを強く感じた事があります。

通常の学級の担任であった時、特別支援学級の担任が、私に呼名をしてほしいと言ってきました。

その時、私は、「この子の支援を一生懸命頑張ってきたのは、先生じゃないですか。先生が、この子の名前を呼ぶべきです」と、特別支援学級の担任の先生に言いました。

実際、当時、私は、その特別支援学級の担任が、日々、特別支援学級の生徒たちのために頑張っているのを見ていました。

だからこそ、呼名するのは私ではないな、と思ったのです。

以上のことから、私が理想と考えるのは、

5. 通常の学級の中で、交流している時の番号順で、特別支援学級担任が呼名する。

です。

先程述べた私の通常の学級の担任時代、実際に、私が呼名している途中で、その生徒の順番になった時は、マイクの位置をその特別支援学級の担任に譲り、呼名してもらいました。

そういうことは、その当時、私が勤務していた地域では、いくつかの学校で、普通に行われていました。

今勤務している学校では、特別支援学級の生徒は、通常の学級の五十音名簿順に呼名されますが、呼名するのは、通常の学級の担任です。

学校にはその学校の慣例があるし、その慣例を教員も、生徒も、保護者も良しとしていれば、敢えて変える必要はないのではないかと、現在の私は、思います。若いころは、たぶん譲らなかったかもしれませんが…

その学校ある場所の地域性、学校の職員の考え方、保護者の意見等、様々、考慮して、決定すべき事だろうなあ、と今は考えています。

保護者を含めて事前の話し合いを十分行い、より適切なほうほうを、考えていけばいいと思います。

余談ですが、実は、私は、本格的に特別支援学級を受け持つようになってから、こんなふうに考えています。

外部の人が卒業式を見たときに、どこに特別支援学級の生徒がいたか分からないことを目指したい。

それを、特別支援学級でのゴールと考えています。

そこまで、特別支援学級の生徒を育てたい。他の生徒と同じことができるように育てたい、ということです。

そして、そのためには、呼名は、通常の学級の担任にしてもらう必要があるのです。

この問題は、いろいろと難しい問題をはらんでいると思います。それぞれの学校で、一人ひとりの先生が、その先生なりのポリシーで、取り組む問題とも考えます。

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