特別支援学級での作業学習と生活単元学習の一体化 ~畑作業・メニュー調べ・買い物学習・調理実習~ その2

「畑作業でとれたじゃがいもを使った調理実習に向けた一連の流れ」をお話しする2回目です。

調理するメニューとレシピが決まり、これから行うことは、次の通りです。

  1. レシピを見て、「材料」「使う道具」を書き出す。
  2. レシピを見て、「調理の手順」を書き写し、班の中での分担を決める。
  3. あわせて、片付けの分担も決める。
  4. 「使う道具」が実際はどこにあるか、あらかじめ調理室で探しておく。

レシピを印刷、またはコピーした方が時間の節約にはなりますが、それぞれ自分で書くことで、より内容を理解していくための学習ととらえています。

中には、字が十分に書けない生徒もいるのですが、一生懸命書いていればOKとし、全員に完璧な書き写しは求めません。

班で協力して、書いたり、分担を決めたりする、ひとつの機会とします。

この学習の目的は、「班で仲良く協力して行う」ことで、「おいしい料理を作る」ことではないと考えています。だから、班での作業を大切にしています。

先にお話しした、期末テストの裏番組としての作業は、この過程の途中くらいで時間きれとなります。

残りの作業は、通常の「生活単元学習」などの時間を、何とか使っていきます。

次に、買い物学習の準備に移ります。

「品物」「数量」「予算」を表の形にまとめます。

この時、学校にあるもの(塩とか砂糖とかサラダ油とか)も、そこに書いてもらいます。

各班から提出してもらったその表を教員がまとめると、どの班が何を使うかが一目瞭然となります。

班でダブっているようなものは、どこかの班が代表で買うように決めておき、無駄ができるだけでないようにしていきます。

「予算」は、買い物をしない生徒たちには難しいところですが、教員などの大人が、生徒に聞かれたときは、教えています。

ここらで、新聞広告を使って調べるというやり方が、時間がとれるといいのではと思います。今回は行いませんでしたが。

買い物学習の手順は、次の通りです。

  1. 買い物学習の注意事項を確認する。(交通マナー、班行動など)
  2. 予算より少し多めのお金を受け取る。
  3. みんなで近くのスーパーに行く。(電卓を持って行くと予算内の買い物ができます)
  4. 班ごと買うものを選び、支払いを済ます。(教員は近くで見守ります。余計なことはできるだけいいません)
  5. みんなで学校に戻る。
  6. 教室で、レシートとお釣りを先生に渡す。

お金をしっかり持って行って、持ってくる。

品物は、自分たちで実際に使うことを考えながら、おいしそうなものを選ぶ。

班の中で話し合って協力する。

このような体験としての買い物学習を、行います。

新学習指導要領が育成を目指す資質能力で考えれば、買い物のための知識・技能、買い物をするときの思考力・判断力、他人と協力して調理に向けて買い物をすることでの学びに向けた力の育成など、学びの方向性は間違ってはいないと思いますが、どうでしょうか。

そして、調理実習です。

  1. 買った品物、レシピを書いたプリント、エプロン等を持って、調理室に移動。
  2. 身支度をして、手を洗う。
  3. 必要な道具を準備。
  4. 調理開始。作業は自分たちが書き写したレシピを見てやるので、先生に質問しても答えてもらえない。困ったことがあったら、自分たちで解決しなくてはならない。
  5. 試食
  6. 片付け。掃除。
  7. 教室で反省記入。

教員や介助員の役割は、生徒が安全に作業できること。次に何をやればいいかなどといった指示は必要ありません。

レシピを決めたときに、自分たちの力で作れそうなメニューを決めなければいけないし、レシピを書き写しているときにも疑問はいくつか解消しているはずなのです。

これらが完璧にできれば、とてもいい集団活動の体験になるのではないかと思います。

だけど、現実は、

  • 班の中で勝手に一人ですすめてしまう生徒がいたり、何をしていいか分からずぼっとしている生徒がいたり、上級生や班長がそれらをうまくまとめられない。
  • 関係ない作業をするなど遊びだしたり、わざと何もしないさぼる生徒がでてしまう。
  • 自分で考えたり、班の中で聞きあったりせずに、何でも先生に聞いてしまう。
  • 片付けや掃除を嫌がってやらない。                  などなど

様々な問題はあるものです。

単なるイベントとして行うのではなく、集団向上の学びの過程として、経験が積み重ねられるような指導が必要なのだと思います。

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