新学習指導要領に向けて特別支援学級はどう取り組むか

令和2年、2020年がスタートしました。

2020年度から、小学校では新しい学習指導要領が全面実施されると思います。中学校は、2021年度からです。

通常の学級を指導していた頃、学習指導要領の改定は大きな事件でした。教える内容が変わるとか、それに伴って教科書が変わるとか、何年かに一度おこる大事件だったという記憶があります。

特別支援学級になって、私も、周りも、あまり、影響を感じてこなかったように思います。

数年前、今回の学習指導要領が改定された頃、新しい学習指導要領は「資質・能力の育成」だ、などと私が言うと、支援の子供にはできないなどと、おっしゃられる特別支援学級担任がいらっしゃいました。

その先生も通常の教育をされていた方ですが、通常の教育では「大騒ぎ」する学習指導要領改訂に、特別支援学級を持ったとたん、興味がなくなってしまうのだなと、感想を持った記憶があります。

特別支援学校学習指導要領を見ると、「主体的・対話的で深い学び」であったり、「育成を目指す資質・能力」であったり、通常の教育課程と同じ文言が並んでいるのです。

特別支援教育も、今回の学習指導要領改訂の趣旨に沿って、変わらなければならないのです。

そういうふうに理解していなかったのは、私のまわりだけかもしれません。多くの全国の先生方は理解されているのかもしれませんが、改めて、このことを指摘しておきたいと思います。

ちなみに、中央教育審議会が、2016年に出した「 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」をもとにまとめると、「育成を目指す資質・能力」は次のような三つの柱と内容になります。

「何を理解しているか、何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」

・「個別の事実的な知識のみを指すものではなく、それらが相互に関連付けられ、さらに社会の中で生きて働く知識となるもの」【知識】

・「一定の手順や段階を追って身に付く個別の技能のみならず、 獲得した個別の技能が自分の経験や他の技能と関連付けられ、変化する状況や課題に 応じて主体的に活用できる技能として習熟・熟達していくこと」【技能】

「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」

・「新たな情報と既存の知識を適切に組み合わせて、それらを活用しながら問題を解決したり、考えを形成したり、新たな価値を創造していくために必要となる思考」【思考力】

・「必要な情報を選択し、解決の方向性や方法を比較・選択し、結論を決定していくために必要な判断や意思決定」【判断力】

・「伝える相手や状況に応じた表現」【表現力】

「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそ うとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」

・「主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力や、自己の感情や行動を統制する能力、自らの思考の過程等を客観的に捉える力など、いわゆる「メタ認知」に関するもの」【学びに向かう力】

・「多様性を尊重する態度と互いのよさを生かして協働する力、持続可能な社会づくりに向けた態度、リーダーシップやチームワーク、感性、優しさや思いやりなど、人間性等に関するもの」【人間性】

勤務している中学校でも、通常の教育を担当されている先生方は、これら新しい学習指導要領の考え方での「新しい授業づくり」に向けて取り組まれています。

特別支援学級も、この流れに沿って、「新しい授業づくり」に取り組んでいく必要があるのだと思います。

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