特別支援学級の生徒は、音楽と体育に交流する

ある中学校で、特別支援学級の生徒は、交流学級の音楽と体育の授業に、基本的に交流しました。

なぜ、音楽と体育なのか、理由が大きく二つあります。

  1. ある中学校では、文化祭はクラスで合唱、体育祭はクラスの単位でチームを組みました。音楽と体育の時間に交流していると、文化祭や体育祭に、そのクラスの一員として入りやすいのです。特別支援学級の生徒も、交流学級の生徒も、何の違和感も感じずに、お互いクラスの一員として取り組めるのです。
  2. 音楽の授業は他の生徒たちと一緒に歌う場面があります。体育の授業は他の生徒たちと一緒にスポーツをしたり、チームを組んだりします。この二つの授業は、交流学級の生徒たちと本当の意味で「交流」することができるのです。対人関係が苦手だったり、経験が浅かったりする特別支援学級の生徒にとって、対人関係を学ぶには、音楽と体育はたいへんいい授業なのです。

この二つについては、交流を上の理由とともに、学校側から提案させていただきました。

授業が始まると、できるだけ介助員さんに付き添ってもらうようにしました。ただし、付き添うからといって、介助員さんが始終くっついているわけではなく、様子を見ながら適宜距離をとって見守っていただき、できるだけ交流学級の生徒と関係づくりができるように配慮していただきました。

交流には様々な考えがあると思います。これらの教科以外にも、本人・保護者によっては交流を希望する場合もあります。実際にある中学校でも、他の教科に交流する生徒もいました。また、音楽や体育も交流が難しい場合もあり、そういうときはあまり無理はさせませんでした。

音楽が週1時間、体育は週3時間なので、合計4時間も交流学級の時間にあわせて交流するとなると、絶えずだれかが交流し、特別支援学級の生徒がいつも全員そろわなかったり、授業が受けられなかったりという弊害も出てきます。実はそれらを考慮して、1年目は体育は週3時間中の1時間だけ交流としていたのですが、体育の担当の先生から、全部来てもらった方がその子にとっても、交流学級の子にとってもいいのでは、という意見から、2年目からは週3時間全部の交流に切り替えました。弊害は出てしまいましたが、得たものも多かったと思います。

一緒に歌を歌ったり、一緒に運動をしたりしたことで、「交流」していた生徒たちは、交流学級の一員としての自覚をどんどん高めることができました。それは、彼らの自信につながったし、対人関係というとても大切な事柄を経験する機会になったのです。特別支援学級の中にいただけでは学べなかったことです。

まさに、「子どもは子どもの中で育つ」ということなのです。


Tags:


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です