特別支援学級での生活単元学習 買い物から調理実習3

○買い物学習

そして、実際に買い物に出かけます。
その中学校から徒歩で10分かからないところに、スーパーマーケットがありました。みんなでそのスーパーマーケットに買い物に行きました。

責任を持たせるため、予算どおりのお金を学校で渡しました。班に1台、電卓を持って行くといいことは、前年の反省から分かったことです。

お金を渡し、注意事項を確認したら、出発です。

校門を出たら、先頭は生徒にまかせます。教員が近くのスーパーまで連れて行くなんてことはしません。生徒の多くはスーパーの場所を知っているのです。大人が連れて行く必要はありません。
大人は生徒の間や後で安全に充分気をつけます。
学校の外で、安全に関わること以外は、極力大人は指示しないようにしました。

道路では歩道を歩く。歩道がなければ右によって歩く。信号は青になったらすすむなど、行く前にも指導してあります。それらが守られなかったら声かけをします。生徒の安全は第一です。事故のないよう、細心の注意を払うことは言うまでもないことです。

スーパーに到着します。

「それではがんばって買いましょう」と声をかけ、グループごと店内に入ります。大人は子どもを見守ります。

子どもたちは、グループごとに、どこに目的のものがあるか、自分たちで探し始めました。これが結構難しく、子どもたちはスーパーの中を、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、探し回ります。

商品を見つけても、予算で間に合うかどうか、電卓を持ったリーダーを中心に、生徒たちは頭を使っていました。

付き添った教員や介助員は、言いたい気持ちをぐっと抑え、基本的には聞かれるまでは黙っていました。大人が全部教えてしまえばすぐに買い物は終わりますが、それでは買い物をする力はつきません。時間はかかりますが、生徒たちに考えさせる指導をここでもとりました。生徒たちはグループの中で一生懸命話し合い、買い物をすすめていました。

全部買い物かごに入れたら、レジに行き、自分たちで払いました。

帰りも安全に十分注意し、生徒を先頭にまとまって歩くようにしました。

学校に戻ってから、お釣りとレシートを、教員が確認しました。お釣りを責任もって学校まで持ってくるということも大切なことなのです。

たかが買い物ですが、されど買い物です。

学校の外に出るたいへん重要な学びの場面です。大人の指示をいかに減らし、生徒が自分で考える場面を多くするかが大切だと思います。

このような経験の積み重ねで、生徒たちは、買い物のスキルだけではなく、集団での行動のしかた、協力性を高めて行くのではないかと思います。

買い物学習の目的は、お金を払う経験をすることではないのです。

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