特別支援学級での校外学習1

ある中学校の特別支援学級で、校外学習を実施しました。

実は日常的に暴言や暴力が飛び交い、問題行動も多発しているような学級でしたので、年間計画には設定していましたが、本当に実施するか、迷いもありました。

前の年は、年間計画にも設定せず、実施しませんでした。私自身、以前の学校では、特別支援学級単独の行事として校外学習を毎年実施していました。その経験上から、様子を見ながら、できそうであれば実施しようと、あらかじめ年間計画に入れておいたものです。生徒たちの成長のきっかけの一つにしようと、実施を決意したのは、2学期に入ってからのことだったと思います。

学校のすべての教育活動は、それを実施したことで生徒の成長を支援するものでなければいけないと思います。特別支援学級も同じです。ただ単に、レクレーション的に、生徒を大人がどこかへ連れて行って、単に何かを経験させるだけでは、中学校の行事としてはふさわしくありません。その行事を通じて、生徒が学び、体験し、成長しなければならないのです。そういう観点から行事の指導を行っていきました。

まずは、教員間で指導の方向性について話し合いました。

・生徒の将来の社会的な自立につながる力を育てる。
・生徒の自主性とともに責任感を育てる。

これらの方向性で指導していくこととなりました。
一人ひとりの生徒の「生活していく力」をより伸ばしていくことを目標として、教員間で確認しました。

行き先については、美術館や寺社といった場所よりも、実際の生き物にふれる場所の方が、どの生徒にも分かりやすいのではないかと教員間で考えました。教員間では動物園はどうかという意見でまとまりました。ここまでの原案は教員側で作成しましたが、実際の決定は、生徒が作る行事ということもあり、生徒に関わらせようということになりました。このような指導の方向は、管理職の許可もいただいてのことでした。

生徒に話をしてみると、動物園の他に、水族館がいいという意見が出ました。水族館も実際の生き物にふれる場所です。本来の目的地としては問題がないところです。他の目的の方向性にあわない場所については教員から説明し、取り下げるようにしました。残ったのは、動物園と水族館です。
生徒の話し合いの結果、場所は水族館がいいとなりました。学校行事であるので、水族館の場所については、先生方に任せてほしい旨、生徒には説明し、その話し合いは終わりました。

その後、教員で話し合いを持ちました。事前の教員の打合せでは動物園だったにもかかわらず、水族館になってしまったということは、少々問題がありましたが、目的は同じなのでいいだろうと言うことで、確認しました。
そして、具体的な水族館の場所を教員で話し合いました。
話し合うと言っても、近隣に多くの水族館があるわけではありません。学校からは、どこも距離があります。その中で、他と比較しての行きやすさという点を考慮して、目的地は「新江ノ島水族館」ということになりました。管理職の確認もとりました。

生徒の話し合いをあえて最終決定としなかったのは、当たり前のことですが、学校として決定は管理職の権限だからです。だからといって、すべてを教員が決めてしまえば、生徒は受け身に回ってしまいます。今回は、生徒にとってみれば、自分たちが決めた水族館に行けるということになります。こういう自分たちの意見が認められたという経験の積み重ねが、自己肯定感にもつながるような気がします。生徒に形式上決めさせるという決定方法も、学校側の理解があってこそできたものです。学校によって、できることに違いがあると思いますが、この時は、こういう方法をとらせていただきました。

休日を利用して、支援級を担当していた教員で「新江ノ島水族館」まで下見に出かけました。学校に集合して、当日と同様にバスと電車を乗り継いで行きました。安全上の確認をするだけではなく、途中のバス停や駅などの乗り換えの分かりやすさを確認したり、途中経路の写真を撮影したりしました。

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