ある中学校特別支援学級で実践した校外学習の報告、最終回です。
前回、ついに、生徒の手で校外学習を行った話をしました。
今回は、事後の話です。
まず、学校に戻った後にとった、反省アンケートの一部を紹介します。
1 目標「クラスみんなで助け合って、思いやりのある校外学習」は、達成できましたか。
- よくできた 6
- できた 6
- あまりできなかった 0
- できなかった 2
2 ルール「①みんなで行動する時 ・歩道を広がって歩かない
・たんどく行動をしない」は、守れましたか。
- よくできた 4
- できた 6
- あまりできなかった 2
- できなかった 2
3 ルール「②バス、電車を乗り降りするとき ・他の人に迷惑をかけない
・忘れ物をしない」は、守れましたか。
- よくできた 8
- できた 3
- あまりできなかった 2
- できなかった 1
4 ルール「③水族館に着いてから ・さわがない
・しっかり勉強してくる」は、守れましたか。
- よくできた 7
- できた 4
- あまりできなかった 1
- できなかった 2
5 ルール「④全体を通して ・マナーを守る
・自分勝手をしない」は、守れましたか。
- よくできた 5
- できた 4
- あまりできなかった 2
- できなかった 3
6 自分の役割に責任を持って取り組めましたか。
- よくできた 8
- できた 3
- あまりできなかった 1
- できなかった 2
ここには載せませんでしたが、他に、「がんばっていた人はだれですか」という設問を設けました。リーダーや班長を中心に、多くの生徒の名前があがっていました。中には、いつも暴言や暴力の絶えないような生徒の名前もあがっていました。いつもとは違う生徒のがんばりがあったことを、生徒自身が認めていたのだと思います。
このほか、個人新聞作りに取り組みました。
字を書くことが難しい生徒も、教員や介助員さんとの会話の中で楽しかった内容を思い出し、それを文字にし、その子なりにがんばって書くことができました。
一人ひとりがA4用紙一枚にまとめ、生徒用昇降口にある掲示板に掲示しました。全校に対して校外学習の報告を行ったのです。支援級の取り組みを全生徒に知ってもらうということも、大切なことだと思います。
準備から事後指導まで、およそ2ヶ月をかけた学習でしたが、有意義なものであったと思います。
当初の方向性、
・生徒の将来の社会的な自立につながる力を育てる。
・生徒の自主性とともに責任感を育てる。
は、達成できたのではないかと言えると思います。
何よりも、多くの生徒が楽しく行ってこられたことがよかったと思います。
最後にもうひとつ。大切なことをお話しします。
校外学習当日、校長先生が引率に加わってくれたのです。
修学旅行や宿泊学習など、多くの学校では校長先生など管理職が責任者として引率に加わるのではないかと思います。しかし、特別支援学級の校外学習に、管理職が引率に加わった経験というのは、今まで私はありませんでした。(地域によって実情は違うかもしれません)そういう中で、今回のように校長先生が引率に加わったということは、校長先生が特別支援学級の行事を、各学年の行事と同様に大切に考えてくれた証拠なのではないかと思います。
校長先生が特別支援学級を大事に思ってくれる学校。だからこそ、他の先生方も、他の生徒たちも特別支援学級を大事にしてくれるのです。この時、この中学校は、特別支援学級も通常の学級も関係ない、みんなでいい学校を作ろうとしていた、インクルーシブ教育の進んだ学校だったのです。
今でも、私は、当時の校長先生はじめすべての先生方、介助員のみなさん、そして、通常の学級を含めたすべての生徒たちに、感謝の気持ちでいっぱいです。