働き方改革を考える ~教員残業月45時間まで 文科省指針案がでる

6日の読売新聞夕刊に、「教員の長時間労働に歯止めをかけるため、文部科学省は、時間外勤務(残業)の上限を原則『月45時間、年360時間』とする指針案を公表した」とでました。

同じ紙面によれば、文科省調査で、平日の平均勤務時間は、小学校教諭で11時間15分、中学校教諭で11時間32分。一ヵ月で換算すると、時間外勤務は、小学校教諭が77時間、中学校教諭が80時間超過の「過労死ライン」前後に達しているという。

私自身、土日も部活をやり、平日も8時過ぎまで働いていたときは、月に100時間以上、時間外勤務をしていたことがあります。

今年は、部活が少し楽になったおかげで、そこまでの時間には達していませんが。

 

月45時間というと、例えば、1か月の授業日数が20日とし、土日を考慮に入れなければ、単純計算で一日当たり2時間15分と言ったところでしょうか。

8時半から5時までが勤務時間だとしたら、8時15分から7時まで勤務したら、ちょうどの計算ですね。

外から見れば、できそうな時間です。

でも実際は、土日の部活の練習や大会等の引率があって、多くの先生が、現状ではこの時間目標を達成することは、困難です。

また、一学期、春から夏にかけての日没が遅いころは、多くの中学校では最終下校が6時になっているのではないでしょうか。生徒が下校した後、例えば、授業で回収したワークシートをチェックしたり、明日の教材を準備したり、ただ単に授業等で開けていた職員室の机上整理や昼間できなかった電話連絡など、日常の業務をこなすだけで、7時などすぐに過ぎてしまいます。

他にも、国や教育委員会から求められる文書の作成などの事務処理も、あります。

行事前や学期末には、これら日常の業務の他に、時期特有の業務も加わります。文化祭や体育祭前には、多くの教員が何らかの分担を持ち、準備のための資料を作ったり、生徒が動けるように準備したり、担当者同士の打ち合わせも行われます。 校外学習などの係になれば、学年や職員会議に出す原案を作らなければいけないし、明日の活動に向けての準備もあるでしょう。

学期末には、テストを作り、採点し、評価を出さなければいけません。今は、テストの点数だけでの評価は認められず、日常の授業中の評価を積み重ねることが求められ、評価の資料は膨大です。一人一人の生徒の取り組みを数値化し、それらのデータをコンピュータに打ち込んで処理をする。教科によって、先生によって、評価資料数は違いますし、すべての資料を一律に加算するのではなく、重点的に評価する資料はそれなりに扱わなければいけないので、単にデータ入力だけの問題ではありません。コンピュータが評価を計算した後も、その評価と一人一人の生徒の顔を見比べて、その評価が適切かどうか検証する必要があります。

現実、私の勤務する学校でも、この学期末、生徒下校後(今は日没が早いので5時前には下校です)、7時過ぎても、職員室の中はほとんどの席が埋まり、コンピュータに打ち込んでいる人、プリントアウトした成績を前に話し合っている人などでごった返し、騒然としている状況です。

 

最近、中学校の部活動がやり玉にあげられていますが、例え部活指導がないとしても、ここまでにあげた仕事を、全て勤務時間内に終わらせるのは無理なのだと思います。

前回お話した通り、教員の仕事は平日8時間の中に収まるものではないのです。

もし、他の仕事と同じように8時間労働制を適用するというのなら、人を増やす以外に、手はないのではと考えます。


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