通常学級への交流をどう考えるか

何度か話題にしている「通常の学級への授業交流」

基本的なスタンスとして、本人や保護者が交流を望んでいるならば、それを進めることが学校としての役割ではと思います。

今年度も多くの生徒が交流しています。

先日、ある生徒は、本人と保護者の希望で、学力テストに交流しました。

問題用紙を前に、どれが問題かもわからないような様子でしたので、問題用紙と解答用紙を指差し、「この問題の答えをここに書くんだよ」と、小さな声で話しかけると、その生徒は、そこに書いてあった問題文を、小さな解答欄に書き写し始めました。

後日、保護者からは、テストを受験し、とても良い経験になったと喜びと感謝の言葉を言われました。

学校の立場で考えると、このことにどんな意義があるのだろうなどと思ってしまいますが、本人や保護者が喜んでいるのなら、これでいいのでしょうか。

 

中学校の特別支援学級の役割は、その生徒の持っている能力をさらに伸ばしていくこと。特に、まだ就労に直接つながる時期ではありませんから、就労を直接念頭に置かなくても、まずは、基本的な読み書き計算の力を伸ばすこと。学習指導要領にも知的な障害のある子供たちは学習したことを定着させ、生活に応用することが不得手、とあるので、繰り返し、生活に密着した形で教えていく必要があるでしょう。

そのほか、基本的な生活に関わること。時間を守ること。挨拶や返事をすること。みんなと協力すること。他者とのコミュニケーションなど、この時期にしっかり押さえておくべきことは多いと思います。

そういう大切なことが、交流すると、学ぶ時間が少なくなってしまう。

教員の立場で考えると、子供のためにはならないと思うのですが、保護者の考えは違うのでしょう。他の多くの子供たちと一緒に生活することは、個別や小集団で生活について学ぶより、ずっと大切。もしくは、どちらも大切だけど、比べれば交流、ということなのでしょう。

もちろん、すべての保護者がそう考えているわけではないのですが、そういう交流を好む保護者が、近年増えているように感じます。

断っておきますが、別に、それが悪いとは、私は言っていませんよ。

自分が理解できないからと言って、そっちを間違いなどと、思い上がった発言をするつもりは毛頭ありません。

 

教員のできることは、交流の多い生徒であっても、支援級にいる時の時間を大切にし、最大限その子のために支援をする。そういうことでしょう。

支援級の授業を、もっと受けたくなるようなものにしていく必要もありますね。

教員にはできることは、山ほどあります。

とにかく、そこに取り組むだけです。

 


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