校外学習で、特別支援学級生徒が、交流級の班に入るか、支援級で班を作るか

校外学習は、多くの中学校で行われていると思います。

今までの私の経験から言うと、1、2年生の校外学習の経験を3年生の修学旅行に向けたものとして位置付けている学校が多くありました。

修学旅行の班行動を、主体的なものとするために、校外学習の班行動を、生徒自身が目標を持って計画し、生徒自身の力で、電車やバスを使って当日目的地をめぐる。事後には、自らの課題に基づいて調べたことをまとめる。という具合です。

こういう行事で問題となるのが、「班」をどうするか、ということです。

 

例えば、2年生で校外学習に出かけるとします。

学校から、班行動で、電車やバスを乗り継いで、目的地に行き、事前の計画に従って、いくつかの見学地を回って、自分の課題に従って調べ活動や体験活動を行う。そうして、班で電車やバスを乗り継いで学校に帰る。としましょう。

この時、特別支援学級の生徒が、特別支援学級でまとまって(それなりの人数がいないと「まとま」ることができませんが…)、班を作ったとすると、どうなるでしょうか。

他の生徒と同じ日にその目的地に行き、途中で他の生徒と出会うことはありますが、基本的には自分たちだけ、特別支援学級だけの行動になってしまいます。

これって、特別支援学級の行事と変わりがなくなってしまい、同じ日に行く意味がなくなってしまいます。かえって、学年が全体に指導する、時間や場所、あるいは事前学習のための時間設定、実施日など、多くの制約を受けることになります。

特別支援学級独自の行事にした方が、すべてにわたって自由がきき、こっちの方がいいことは明らかです。

つまり、学年の校外学習に、特別支援学級でまとまって行動するだけでは、教育的な意味がない、ということです。

学年の行事に加わるということは、交流する意味がなくてはいけません。

何のために学年の校外学習に行くのか。学年との交流であれば、交流級の生徒と関わる場面がなくてはいけないし、ただその目的地を観光するのが目的ならば、別日程を組んだ方が、日程や場所などいろいろなことが自由に決められ、教育的には絶対いいです。

 

もちろん、校外学習で交流級の班に入るためには、いくつかの課題が生じます。

一つは、その生徒の特性です。

授業交流など盛んに行い、他の生徒とコミュニケーションが十分取れる生徒なら問題はありませんが、介助者なしで交流級の生徒と一緒にした時にコミュニケーションや行動等の不安があれば、一概に一緒の班にした方がいいとは言えません。

理想は、上に書いた通りですが、個の生徒の特性によっては、班に入らずに支援級で行動し、どこか交流できる場面があれば限定的な交流をする、ということも考えなくてはなりません。

特別支援は個に応じた対応を求められるので、すべてこうしなさい、というものはありません。

 

二つ目は、学年の先生方の考え方です。

今までの経験でも、たとえ授業交流など多く行っている生徒であっても、その生徒が交流級の班に入ってくることを拒否するような先生はいます。

学年の先生方の特別支援学級に対する考え方は、行事に限ったことではありませんので、普段から、特別支援学級を理解してもらうような取り組みが、特別支援学級側にも必要になってくるのでしょう。

できれば、そういうことは、特別支援学級担当者だけが努力するのではなく、管理職が理解を示し、学校として特別支援学級を受け入れる雰囲気を作らなければいけないと、思います。

以前の学校では、交流級の班に特別支援学級の生徒が入り、そこに介助者が付き添ったこともありました。これは、まさに学校の考え方でしょう。

 

 

さて、私の勤務する学校でも、先日、校外学習がありました。

何人かは交流級の班に入って、生徒たちだけで、学校から1時間以上かけて電車を乗り継いで目的地に行き、見学先を周り、無事に学校まで戻ってきました。

本人たちの希望や状況から、何人かは特別支援学級として班を作って、行動しました。見学先で、学年の生徒たちと出会い、会話をする場面もありました。実質的な交流はなかったのですが、他の生徒と同じ行動をしているという意識はもて、そういう点では、意義があったのだろうと思います。

その特別支援学級として班を作ったメンバーも、事前事後学習は他の生徒と同じことに取り組み、事後学習の発表は、交流級の中で行う予定です。

 

行事交流をする場合、その教育的な意味をしっかり考え、個に応じて、その生徒にとって最もいいと思う方法をとる。

特別支援の基本ではないかと思います。


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