新型コロナウイルスによる全国一斉休校から1ヶ月 現場で何が起こったか

突然の安倍総理大臣の一斉休校要請から、ほぼ1ヶ月。

勤務する中学校は、先週、生徒と教員だけで卒業式を挙行し、1、2年生にはクラス別に時差登校させて、荷物や通知表を渡しました。

そうして、春休みを迎えることができました。この間、学校現場では、何が起こっていたのでしょうか。

1 先生方は、日々、生徒のいない学校に勤務していました。

生徒が登校せず、授業はありませんでしたが、多くの先生方が、勤務時間通りに、勤務についていました。ちょうど、学年末であり、成績処理や、通知表作成など、多くの仕事がある時期です。さらに、校務分掌上の今年度のまとめをし、来年度計画なども立てなければいけません。それに向けた個々の文書作成や会議など、仕事は多くありました。

職員室ではコンピュータに向かって、ひたすら何かを打ち込み、あちらこちらで校務分掌上の会議が開かれる。そんな日常が、過ぎました。

2 今後の状況が見えず、混乱していました。

筆者は校内の立場上、校長同席の会議に定例的に出席する必要があります。そこで校長から語られる言葉は、常に、市教委に毎日何本も電話をしている。市内の校長に何回も電話し、情勢を見極めている。という言葉でした。

卒業式も、結果的には行うことができたとは言え、途中までは、どうなることか分かりませんでした。さらに、1、2年生にも通知表を渡さなくてはいけません。生徒を集めていいのか。集めるのならどうするか。卒業式も、どうやって行うかなど、情報がよくわからない中、暗中模索している状況でした。

つくづく、勤務校のような公立中学校は、設置する市や教育委員会の指示で動かなければならず、その指示がなければ、動くことができないのだと、分かりました。

筆者は特別支援学級担当なので、1、2年生はまた4月から会えるとタカをくくっていたのですが、通常級の3年生担当にとってみれば卒業式をどう子供たちに作ることができるか、1、2年生担当にすれば、1年間ともに過ごしてきたクラスを最後にどう有終の美を飾るかなど、それらができるかどうかわからない不安を含めて、混乱を極めていたと言っても過言ではないでしょう。

とにかく、卒業式は挙行でき、1、2年生とも、各担任は短い時間の中お別れをしていました。筆者も、登校してきた一人一人に声をかけながら、また、4月に会おうね、とあいさつできました。

さて、このような中で、いくつか気づく点があったことを、次に書きたいと思います。

1 教員の仕事は、授業がなくても、勤務時間では終わらない。

授業のない中で、この1ヶ月、多くの先生方が勤務時間通りの勤務をしていました。退勤時間を過ぎると、職員室内の先生方があっという間にいなくなってしまうので、筆者も帰らざるを得ない状況でした。

授業がないから、一日中、授業以外の「仕事」をしていました。授業がない分、はかどったはずです。

にもかかわらず、「仕事」は全く終わりませんでした。

ついに、昨日の土曜日は、ほぼ一日、休日出勤で「仕事」をしていました。

授業がなくても、教員の「仕事」は、勤務時間では終わる量ではなかったのです。

これじゃあ、授業が平常にある期間、先生方の残業が多いはずです。

2 どうやらデイサービスの方々に、頑張っていただいたようです。

休校期間中、来年度に向けての保護者面談を行いました。これは、わざと休校期間中に行ったのではなく、元々その日にやる予定を組んでいたものです。何人かの保護者、本人の話の中で、休校中どうしているかというと、午前中からデイサービスに通っているという話を、聞きました。

勤務校では、行く場所のない特別支援学級の生徒について、学校でも面倒をみますよ、というアナウンスはしていたのですが、そこには、誰も希望してきませんでした。

その裏に、デイサービスの方々が、このような緊急事態に対応し、普段は開けない午前中からの対応をしてくれていたようです。そういうデイサービスが、いくつもあったようです。

頭の下がる思いです。ありがとうございます。

3 やることのない子は、ゲームとYouTube。

同じ面談での話題で、一日中ゲームとYouTubeだという話も聞きました。

大人にしてみると、他にやることはないのかと批判的にみてしまいますが、本当に、他にやることがないのでしょう。

途中からは文科省も外で遊ぶことに言及していましたが、最初の頃は、感染防止のために外出も控えるという指示でした。そのような状況で、家に一人でいるときに、やることと言ったら、ゲームやYouTubeになってしまうのかもしれません。

特別支援学級からも課題を出したり、学校として勧めていたインターネットによる学習サイトの紹介などもしましたが、山ほどある時間をそれだけで満たすことは、当たり前ですができませんね。

ゲームやYouTubeがいけないというわけではありませんが、何か別のものがあってもいいなと思います。

余暇にすることの選択肢を多く持てるような、そんな支援が必要なのだと思います。

日常ないような休校を経験し、普段見えないものも見えたように思います。

さて、4月からどうなるか。

どちらにしても、ここまでの反省の上に立って、取り組もうかと思います。

ちなみに、尾木先生の記事が、yahooニュースにありました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする