緊急事態宣言による休校期間中、特別支援学級は何ができるのか

緊急事態宣言が発せられ、また全国に広げられ、既に2週間が経過しています。

勤務する中学校では、課題受け渡し日ということで、各学年、クラスごと時間差を設けながら、週に1回程度、生徒に登校を促しています。

特別支援学級では、交流するクラスの時間に合わせて登校させています。特別支援学級で単独で実施した方が、指導上、いろいろといいのだとは思いますが、日常の学校生活の中で、交流する「クラスの一員」であると指導している延長として、交流するクラスの担任の先生のところに、他のクラスの生徒たちと一緒に顔を見せ、提出するものはその先生に出し、もらう配付物はその先生からもらうようにしています。

特別支援学級では、生徒のその動きの前後に支援しています。

登校したら、特別支援学級で準備している「連絡帳」の提出してもらいますが、必ず、交流のクラスの先生に提出するものも確認をしています。

在籍上は特別支援学級なので、年度当初提出する書類の中の多くは、交流するクラスではなく、特別支援学級としてまとめてファイルしなくてはいけないものもあるのですが、そういうものも、わざと、交流するクラスの先生に、自分で渡すように、指導しています。他の子と同じことをすること、交流するクラスの先生との関わりとして、そういう方針を取りました。後で、交流するクラスの先生からは、それらの書類を受け取るので、手間にはなるのですが、生徒の学びの観点からは、この方がいいだろうと、判断しています。

交流するクラスの先生とのやりとりが終わったら、特別支援学級の先生のところに来てもらい、「連絡帳」を返したり、特別支援学級からの配布物を渡したり、休校中の生活についての話をしています。

交流するクラスはバラバラなので、特別支援学級の生徒が集まることはありません。今年在籍する二十人ほどのうち、一度に来るのは、一人か二人といったところです。特別支援学級の仲間と会えないのは、寂しいことかもしレませんが、こういうやり方をとっています。

 

 

さて、全国的に休校が長期間となって、学習に対する取り組みの違いが、大きく話題になっています。

ネット環境が整えられている学校や地域では、オンライン授業などが進められ、休校期間といっても、普段通りに学習が進められている地域もあるようです。

勤務する学校は、そういう環境にはありません。

ようやく市教育委員会も、動画配信をするシステムを作ったようで、勤務する学校の若い先生方は、積極的に授業動画を作成しているようです。

また、各学年では、先生方が熱心に課題プリントを作成しているようです。新しい学年の教科書の予習的な内容を、少しずつわかりやすく解説し、取り組めるような課題が作られていて、先生方の努力に、大いに感心しています。

 

特別支援学級では、こんな取り組みをしてみました。

課題プリントは、作成しました。

基礎的な計算問題や、漢字練習のプリントを出しました。

昨年栽培した花の種を渡し、家庭でも植えてみるよう、提案してみました。

ペーパークラフトや調理実習のレシピなど配付しました。

動画を作成する代わりに、NHKの教育放送などを紹介し、映像を見ての学習を勧めました。

 

登校した子供たちの中には、こちらが出した課題に頑張って取り組んでいる生徒もいます。一方、毎日ゲームばかりだといって、そういう課題に取り組んでいない生徒もいます。

普段の授業でさえ、課題に取り組まない子もいます。そのような子に、家でやる課題を渡しただけでは、取り組むところまでいかないことは、想像できることです。

様々な家庭の環境があるから、家族に、子供の学習を見てもらうのも限界があるでしょう。

これが、単なる長期休暇なら、家庭学習に取り組まなかったからといっても、私もそこまで考えないかもしれません。だけど、今は、本来学校がある期間なのです。この期間に学習に向かわないのは、特別支援学級の生徒であっても、彼らの成長、発達上、問題であると思います。

学習だからといって、教科学習のみではなく、前述の通り、栽培や工作、調理など、普段特別支援学級で取り組んでいるような内容も混ぜています。それらの活動を、配付しっぱなしではなく、きちんと取り組ませるような、こちらからの働きかけが、必要なのだなあとつくづく感じます。

そうすると、例えば、ネット環境を充実させ、オンラインで、先生や級友の顔を見ながら、朝の会や授業ができるといいと思います。

特別支援学級の生徒では、特に、一人では何をしたらいいかわからないことがあるかもしれません。先生や級友の顔が見え、取り組みをお互い見合う中で、より一層取り組んでいけるように思います。

このような緊急事態宣言が出される世になり、IT化の大切さが、改めて思い知らされています。

だけど、ないものねだりをしても、何も解決できません。

アナログな対応の中で、さらに、工夫をしていく必要があるのだと考えます。


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