通常の学級から特別支援学級への入級 いわゆる措置替え

通常の学級から特別支援学級に在籍を移すことを、「措置替え」という言葉でよく表現するようです。

勤務校の所属する自治体だけなのかもしれませんが、今は「措置替え」とは言わず、特別支援学級への「入級」と表現しています。

逆に、特別支援学級から通常の学級に在籍を移すことを、特別支援学級からの「退級」と表現しています。

 

さて、現在、通常の学級にも多くの支援が必要な児童生徒が在籍していることが、各所で話題になっています。

文科省調査で、通常の学級の6.5%なんて言われていますが、実態はもっと多いのではないかという意見もあるようです。

実際、通常の学級の子どもたちをみてみると、授業に全くついていく学力がついていない生徒がいます。中学生でも、九九が言えなかったり、文字がうまく書けなかったり。

落ち着きがなく、たえず話したり動いたりしている生徒がいます。

人間関係が上手に作れず、そこに困り感を持っている生徒がいます。

集団に何らかの不安を感じて、教室に入れなかったり、学校に来れなかったりする生徒がいます。

親や学校の先生方は、この子達に何らかの対策をしようと、日夜頑張っていらっしゃいます。本当に頭が下がる思いです。

 

特に、学習についていくことがむずかしいと親や先生方が判断した場合、特別支援学級への「入級」が話題になる場合があります。

 

中学校にいて、小学校までは通常の学級にいたのだけれど、中学校からは特別支援学級に「入級」するという例を、よく目にします。

それは、その子どものことを、真に心配し、考え抜いた結果、検討されたのだということは、十分、私も承知しています。

そういう子どもの何人かは、特別支援学級で充実した生活を送ることができています。

しかし、一方、何人かは学校に対する不適応症状を起こしてしまう例があるようです。不登校になってしまった例を、何人かみています。

 

小学校高学年から中学生にかけて、思春期を迎え、心も成長する過程の中で、自我が芽生えてきます。

そんな時期に、通常の学級から特別支援学級に移ることが、その子どもに心理的影響を与えてしまうのではないかと考えます。

理想はさておいて、現実問題として、学校の中には特別支援学級を下に見るような、そんな「差別的雰囲気」が残っているのではないでしょうか。

そういう雰囲気の中、通常の学級で何年も過ごしている中で、子どもたちの心には、特別支援学級を下に見るような意識が、わずかでも育ってしまうのではないかと思うのです。

そこに自分が行かなければいけないということは、その子供の心に大きなショックを与えてしまうのだと考えています。

親や先生は、特別支援学級で指導してもらったほうが、あなたにふさわしい勉強を教えてもらえるんだと、説明をします。

もちろん、その子自身も、そんなことはわかっています。だから、受け入れる子どもも多いことでしょう。

しかし、その子どもは、何年も「外から」特別支援学級を見ていました。そこに自分が入るということは、自分が今まで特別支援学級を見ていた見方で、他の子どもから自分が見られるということなのです。今まで特別支援学級を下に見ていた子どもなら、自分が今度は下に見られるということを理解することになるのです。

そうすると、その子どもの学校生活に対するモチベーションは、低下してしまうことになってしまいます。

 

例に上げた「差別的雰囲気」があるような地域において、もし、将来的に特別支援学級を考えるような子どもであれば、むずかしい判断ですが、できれば小学校低学年のうちに入級したほうが、特別支援学級にうまく適応できるのではないかと思います。

少なくとも、中学校から特別支援学級へと言う考えは、保護者の方も先生方も持たないほうがいいのではないかと、私は思います。

 

根本的には、現在の制度そのものにも、改善すべき点はあるのだと思いますが、そのことは、別の機会に譲りたいと思います。


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